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光と影のあわいに生まれる、新しい京都のスーツ

  • 1月14日
  • 読了時間: 2分

更新日:16 時間前


京都の町に、声高に語ることなく、しかし確かに心に残るブランドがある。その名は KOMOREBI Kyoto。

着物素材、とりわけ300年の歴史を持つ京友禅を、現代のスーツやジャケットへと昇華させるこのブランドは、単に伝統を継承する存在ではない。それは、日本が育んできた「静けさの力」を、現代の衣服として再構築する試みである。


京友禅を「遺産」にしないという選択

京友禅は江戸時代より続く、日本三大友禅のひとつ。四季の移ろい、寺社の静寂、町家に差し込む柔らかな光——京都という都市の情景そのものが、布の上に描かれてきた。

しかし、その文化はいま静かな危機の只中にある。

KOMOREBI Kyotoは、それを保存すべき過去として閉じ込めるのではなく、現代の装いとして再び機能させる道を選んだ。伝統工芸の職人とテーラーの精緻なクラフトマンシップを融合し、世界共通のフォーマットであるスーツへと落とし込むことで、京都から世界へ、静かに差し出していく。

それは、文化を守るのではなく、生かすという選択である。



光ではなく、「あわい」に立つ

KOMOREBI Kyotoの思想は、強い光を誇るものではない。かといって、闇に沈むことを選ぶわけでもない。

木々の間から差し込む木漏れ日のように、光と影の「あわい」に立つこと。

外側には節度ある静かな佇まい。内側には、京友禅の豊かな表情と、揺るぎない誇り、そして時間を重ねた精神が忍ばされている。

それは、誇示ではなく佇まいを選ぶ者のための美。見る者すべてに語りかけるのではなく、その佇まいに共鳴する心にだけ、そっと触れるラグジュアリーである。



沈黙の中に宿る品格

この思想の根底には、二人の思想家の精神がある。

新渡戸稲造が『武士道』で示したのは、沈黙の中に宿る品格だった。声高に主張せずとも伝わる強さ。節度と誠実さ。

そして、岡倉天心が『茶の本』で見出したのは、陰翳や余白にこそ生まれる美。不完全さや揺らぎを受け入れる美意識。

KOMOREBI Kyotoの服は、その思想を現代の身体の上に宿す。外側の抑制と均衡。内側の揺らぎと歴史。

二重性こそが、このブランドの核である。



纏うことで、在り方を映す

KOMOREBI Kyotoの一着は、単なる衣服ではない。それは、心を整え、自身の在り方を映し出す装置である。

光に立ちながら、影を味方にすること。語らずとも伝わる存在であること。

その静かな強さは、いま世界が求めるクワイエット・ラグジュアリーのさらに奥にある、日本固有の精神へとつながっている。

京都から世界へ。KOMOREBI Kyotoは、日本が育んできた静けさの力を一着に封じ込め、時を重ねながら、静かに差し出し続けていく。

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